なぜ自死遺族は周囲に隠すのか?
「父が亡くなりまして…」
「お気の毒に…ご病気だったんですか??」
このような会話で私はいつも
「はい」と答えてしまいます。
理由は、
自殺で亡くなったことを言いたくないから。
日本の自殺者の人数から考えると、
身近にも自死遺族がいてもおかしくないのです。
いえ、もっと言うと
居るはずなのです。
ではなぜ、自死遺族の存在を、知らず
周囲で見かけないのでしょうか?
理由はひとつ。
自死遺族の方々は、死因が自殺であることを
隠したいから。
なぜ、家族が自殺した事を隠したいのか
その理由を分析してみます。
①可哀想だと思われる
あるあるかもしれませんが
家族が亡くなったと言われれば気の毒に思いますよね。
でも、家族を亡くした方としては、
気の毒に思われることですら
面倒だったり鬱陶しいと感じる時もあります。
自殺した人は、大抵の場合
若かったり、仕事をしていたり、そうでなくても
まだそこまで大往生とは言えない年齢なので、
余計に周囲から見れば、可哀想、不幸だと
思われやすいのではないでしょうか。
その周囲の思いを無下にしたくない、
でも自分を守りたくて、
死因にまで踏み込んだ話をしないという事もあると思います。
②家族の支えが不十分だったと思われる
これは、私自身がそう思って
周囲に言えないでいる部分でもあります。
おそらく、周囲の人は
「あなたのお父さん自殺したんだね。
じゃあ、あなた、
娘として不出来だったんだろうね」
とはならないでしょう。
問題は、自死遺族自身が
自分のせいではないか??と
思ってしまっているという部分です。
自死というのは自分で死を選んでいるので
必ず原因はあると思います。
それが娘の不出来であれ、心の病気であれ、
原因は原因。
自殺という死因を話すだけで、
その原因まで勝手に推測されるのは、
自死遺族としては遺憾です。
③タブー視されている
自殺=話してはいけない
日本って(世界もかもしれませんが)
こんな考え方ありませんか??
でも、例えば友人が自殺してしまったとして
その友人との楽しい思い出まで封印してしまうのは
その友人がせっかく残した生きた証を
わざわざ消してしまうような気がして、
私はあまり好きではありません。
大切なのは、死に方ではなくて
生き方じゃないでしょうか??
芸能人の自殺も、
衝撃的だからこそ、自殺というワードだけが
ニュースになり、話題になり、
結果その芸能人の名前とセットで必ず「自殺」が
出てくるようになる。
私は、生きていた頃の父の話がしたい。
楽しかった思い出は楽しかったと話したい。
そう思っています。
自死遺族の方が、ご家族の死因を隠すことを
否定するつもりはありません。
私自身も本当に大切な相手にしか、
本当のことは話していません。
それは自分や家族を守るためです。